
宮廷の技師が残したノート
ノートに描かれているからといって、その機械が実際に動いたとは限らない。レオナルドの紙には、水の装置、計算、衣装、覚え書きが混じる。完成品の図録ではなく、宮廷の注文と自分の観察を往復して考えた跡だ。
フォースター第1冊には、ミラノの1487〜1490年ごろの水の装置と、フィレンツェの1505年7月の形と体積の研究がある。異なる土地や支援者のもとで書いた紙が一冊にまとめられており、巻番号は制作順を示していない。水時計や噴水などの宮廷の需要と、測る関心が紙の上に並んでいた。
水と重さを図で検討する
図を描けば、重さや力がどこへ働くかを紙の上で追える。永久機関の案を検討し、否定したこともノートに残る。描画は思いつきを見せるためだけでなく、成り立つかどうかを確かめ、考えを変える道具だった。
1495年ごろの記述には比例やパチョーリへの言及があり、1495〜1497年には重さと機械を研究していた。鏡文字は左右を逆にして読め、左利きの書きやすさなど複数の説明がある。秘密の暗号とは決められない。文字の向きと、比例や力を図で表す内容は別の問題だった。
設計、試案、実現を分ける
内側の余白を越えて続く文字は、紙を折る前に書いた手がかりになる。後の折り方と製本が、別の時期の紙を一冊にまとめたため、現在の巻番号とページ順は書いた順ではない。さらに、図から現代に模型を作れても、本人が当時完成させて運転した証拠にはならない。
前後の流れ
- 1487〜1490年頃
フォースターIの初期の紙葉。
- 1495〜1497年頃
フォースターIIの重さなどの研究。
- 1505年7月
フィレンツェの変形研究ノート。
- 1876年
フォースターの遺贈でV&Aの所蔵へ。
言葉の意味
- 鏡文字
- 左右を反転して読む文字の書き方。
- 紙葉
- 本に綴じられる個々の紙。
- 試案
- 実現前に考えた設計や計画。
史料から分かること
水の装置と人体の図が同じ資料群にある。対象の幅だけで天才像を作らず、図に何を測り何を試そうとしたかを読む。
フォースター手稿、年代、水・重さ・鏡文字、パチョーリと製本。 ノートの所在と1495〜1497年のフォースターII。
図があるだけで装置の実現は証明できない。
パチョーリへの言及は数学の議論を他者と共有した痕跡になる。宮廷の注文や同僚との関係を加えると、観察を孤独な仕事だけにしない。
フォースター手稿、年代、水・重さ・鏡文字、パチョーリと製本。 ノートの所在と1495〜1497年のフォースターII。
鏡文字の理由を単一の動機に断定しない。
理解を確かめる
答えを選ぶと解説が表示されます。本文や資料を読み返しながら考えてみよう。

