王が正義を示した都市
隣人の畑を水浸しにしたら、誰が収穫を弁償するのか。借金、相続、仕事の失敗をどう裁くか。石碑には282の判断がまとめられ、その上で王が太陽と正義の神シャマシュの前に立つ。日々の争いを扱う文字と、裁く王の資格を示す像が組み合わされている。
借金、家族、水路の争い
「目には目を」は誰にでも同じように適用されたわけではない。身体への罰になる場合も、金銭の支払いになる場合もあり、当事者の身分が判断に関わった。秩序を守る規則の中に、当時の不平等も書き込まれていた。
農地の用水には、堤や水路を放置した人への賠償の判断がある。収穫を得るための水が、管理の失敗で隣人を害するものへ変わる。浸水を防ぐ責任を怠れば、収穫の損害を償わなければならない。用水の管理は、隣人の暮らしにも関わる義務だった。
守られた権利と残った格差
刻まれた判断は、王が公に示した正義の姿を伝えるが、実際の裁判の全記録ではない。バビロニアで作られた石碑は、1901〜1902年にスーサで発見され、現在はルーヴルにある。石碑は制作地を離れ、長い移動を経て現在の場所にある。
前後の流れ
- 紀元前1750年頃
バビロニアで石碑が制作される。
- 1901〜1902年
制作地と異なるスーサで石碑が発見される。
- 1902年
シェイルが文章の最初の翻訳を公刊する。
言葉の意味
- 事例
- 具体的な状況とその判断を示す文章。
- 身分
- 権利や義務の違いに関わる社会的な立場。
- 石碑
- 文字や像を刻んだ立つ石の記念物。
史料から分かること
判決の題材は暮らしに及ぶ。
家族・財産・商業・労働の事例がある。
当時の紛争すべての一覧ではない。
刑罰は身分にも左右される。
ルーヴルの解説が刑罰の違いを示す。
現代の法の下の平等とは同一でない。
理解を確かめる
答えを選ぶと解説が表示されます。本文や資料を読み返しながら考えてみよう。
参考資料
- Le Code de HammurabiMusée du Louvre
紀元前1750年頃の石碑、事例形式、身分で異なる刑罰。
- Nul n’est censé ignorer la loiMusée du Louvre
法に関する既存の伝統と石碑に記された日常の紛争。
- ハンムラビ石碑の作品台帳Musée du Louvre
楔形文字、シャマシュの像、制作地とスーサでの出土。
- ハンムラビ石碑と水の責任Musée du Louvre
堤と水路の管理を怠った場合の隣人への賠償。
- 石碑の282の判断Musée du Louvre
家族・財産・交易・労働を扱う判断と神の前の王。
- 石碑の発見と翻訳GrandPalaisRmn
1901〜1902年の発見と1902年のシェイルによる最初の翻訳。最古という一般化は採用しない。
